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不動産業界の実態
川口市を中心に活動する不動産コンサルタントの有限会社リプロです。難しい話が続いたので、お茶請けとして、不動産業界の実態について説明しようと思います。 実際は物件や取引の状況で判断が異なるので、この記事の内容は、そういう見方もあるんだ、程度でお願いします。
チュースケ「太郎さ~ん。知り合いが中古戸建てを買いたいみたいなんですけど、なんか不動産屋さんが新築ばっかり勧めてきて困ってるんです。」
調査太郎「その友人はリフォームがしたいのかな?」
チュースケ「よくわかりましたね。リビングとキッチンにこだわりたいようで、築年数は古くてもいいからしっかりリフォームしたいみたいなんです。」
調査太郎「ちょうど良い機会なんで、不動産業者の実態について説明しようか。」
チュースケ「お願いします!」
日本の不動産市場は新築偏重だった
調査太郎「もともと不動産業界ってのは新築を売るための業界だったんだ。」
チュースケ「でも、住んでいる家がいらなくなったら売却しますよね。」
調査太郎「ああ。少し前までは家を買う=新築を建てるという価値観が強かったから、築浅物件を除いて、中古の物件は壊して新しく家を建てるのが普通だった。」
チュースケ「でもマンションは建替えられませんよね。」
調査太郎「そうだね。マンションは容易に建て替えができないから、中古の流通も割と早い段階から形成されていた。ひとつ聞くけどが、中古物件って「新築が買えないから仕方なく」って思ってない?」
チュースケ「確かにお金があったら新築の方がいいな、って思いますけど。」
調査太郎「その価値観が横行していたのがこれまでの住宅業界だったんだ。消費者に届く情報がことごとく新築に偏ったものだから、家を買う=新築という価値観が形成されたんだ。ちょうど私たちの親世代なんかは未だにその影響を受けてるよ。」
チュースケ「友人も中古なんてやめろって親に反対されたと言ってました!」
調査太郎「日本の住宅業界が新築偏重だったのにはいくつか理由があるんだが、今回は事業者がテーマだから、別の機会に説明することにするよ。そんなこんなで新築を売る業界が長らく続いてきたんで、今の不動産事業者も、家を売る=新築を売るという感覚から脱してない人が多い。」
チュースケ「新築ばっかり建ててたら家が余っちゃいますよね。」
調査太郎「その通り。昔は人口が増える時代だったから、そもそも数が足りていない時期もあったし、古いものを無理やり使わなくても壊して新築する人も多かったから、新築偏重の業界で問題がなかった。でも今の日本は人口減少社会だから、実際に家が余って困っている。空き家ばっかりの街に住みたいかい?」
チュースケ「それは嫌です~。ご近所さんがいないと寂しいじゃないですか。」
調査太郎「実はそんなに簡単な問題じゃないんだ。空き家問題は既に顕在化した社会問題で、空き家の割合が多くなった街は、街として機能しなくなるんだ。誰かが勝手に住み始めても気が付かないだろう?今の日本の社会は、住宅には人が住むことを前提に設計されているから、人が住まない家が増えると、これまでなかった問題がたくさん発生することになるんだ。」
チュースケ「じゃあもう新築はいらないってことですか?」
調査太郎「一概には言えない。立場によって答えが変わるという方が適切かな?
別に新築そのものが悪というわけじゃないからね。ただ、今の住宅業界が少し歪なのは、“新築を売らないと成り立たない事業者”がいるってことだ。消費者が新築でなければならない理由は昔と変わっていないし、むしろ中古の選択肢が増えている分、消費者は昔ほど新築を必要としていないとも言える。」
新築に偏った情報が横行している
チュースケ「でもCMとかでたくさんPRしてるじゃないですか。やっぱり家を買うなら新築がいいなって思いますよ。」
調査太郎「そこが問題。消費者と事業者の情報格差の問題があるって前に言ったよね。」
チュースケ「非対称性でしたっけ。」
調査太郎「本来であれば新築であってもデメリットはあるし、中古物件にもメリットはいっぱいある。でも新築を建てないと成り立たない会社の立場だったらどうする?」
チュースケ「新築のいいところをPRします。。。」
調査太郎「PRだけでなく、業者にとって不都合な情報はあまり出ないようにする。つまりは中古が魅力的って情報はあまり消費者には届かない。」
チュースケ「そんなのなんかズルいです!」
調査太郎「他の業界だって同じだろ?ここで言いたいのは、住宅業界は新築に偏った情報が横行しているということを認識することが大切ってこと。」
チュースケ「中古も検討した方がいいってことですか。」
調査太郎「そもそも、日本の不動産の価値は建物と土地に分かれる。新築か中古かってのは建物の問題でしかない。そして不動産の価値に影響するには建物ではなく間違いなく土地なんだ。立地が最優先なんだよ。」
チュースケ「立地なんてあんまり聞きませんよ~。」
調査太郎「そりゃそうだ。立地の良いところから順番に家を建てるに決まってるじゃないか。これだけ家が余ってるんだから、当然好立地にはすでに家が建ってるよ。でも業者は新築を売りたいじゃないか。だから、立地が劣る分、新築である価値を殊更PRしなきゃいけないわけだ。」
チュースケ「なんだか嫌な話になってきましたね。」
調査太郎「企業が自社商品の良いところを宣伝するのは健全な経済活動だよ。
問題は消費者がどう捉えるか、だ。断言するけど、「賢い住宅購入」を実現したければ、新築であることの優先順位は非常に低い。むしろマイナスの場合が多い。」
チュースケ「難しいです。。 。」
調査太郎「資産価値についてはエリアの特性なんかもあるから、個別に相談した方が適切な情報が得られると思う。家を買う時は立地という判断基準を持つことが大切と認識しておけば、とりあえず大丈夫。」
チュースケ「わかりました。」
調査太郎「しばらく業者にとっては知られると都合が悪い話が続くけど、まず前提として新築偏重というのは業者が作った価値観ではあるものの、長らく消費者もそれを受け入れていた、という点はきちんと認識しよう。」
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