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【瑕疵保険③】瑕疵保険には種類があります
川口市を中心に活動する不動産コンサルタントの有限会社リプロです。既存住宅売買瑕疵保険シリーズ3回目です。今回は瑕疵保険の種類について説明します。
前回少し触れましたが、新築と中古では同じ瑕疵保険という名前でも意味合いが異なるということをご説明しました。今回は既存住宅売買瑕疵保険の中でも種類があることについて説明いたします。
瑕疵保険には種類がある
調査太郎「さて前回のおさらいも踏まえて、瑕疵保険を区分してみよう。」
チュースケ「まず新築と既存住宅で分かれますよね。」
調査太郎「そうだね。新築と既存住宅の瑕疵保険は異なる保険商品だよ。」
チュースケ「前回リフォーム瑕疵保険という言葉が出てきたので、不動産取引とリフォームで分かれるんでしょうか。」
調査太郎「その通り。既存住宅売買瑕疵保険とリフォーム瑕疵保険に区分される。」
チュースケ「他にもあるんですか?」
調査太郎「既存住宅売買瑕疵保険は、更に区分されるんだ。 売主が個人の場合と宅建業者の場合で、商品が全く異なる。まとめると下記のようになる。」
チュースケ「太郎さん、個人間売買の後ろに引き渡し後リフォーム特約ってありますけど、なんですかこれ。」
調査太郎「個人間売買のところで説明しようと思っているんだけど、実務ではかなり重要な制度になるよ。住宅ローン減税でも所有権移転後の方法があっただろう?」
チュースケ「またややこしい話ですか?」
調査太郎「瑕疵保険の引き渡し後リフォーム特約はそんなに難しくないよ。でも住宅ローン減税と同じで売買瑕疵保険は所有権移転日が重要な意味を持つんだ。あとで説明するので、個人間売買の既存住宅売買瑕疵保険は所有権移転後のリフォームでも大丈夫な方法があるくらいの認識で良いよ。」
瑕疵保険の加入者は誰?
調査太郎「それでは突っ込んだ話をしよう。そもそも瑕疵保険って誰が入る保険なんだろう?」
チュースケ「誰って買主じゃないんですか?その家を所有するわけですし。」
調査太郎「それだと、前回話をした事業者の責任の問題が説明つかないよね。前提として法的に明確な責任があって保険が成り立っている。」
チュースケ「それはわかります。車の保険も自分が悪いから保険がおりますよね。」
調査太郎「それじゃあ瑕疵保険は何のための保険なんだろう?」
チュースケ「えっと、瑕疵担保責任でしたっけ。」
調査太郎「瑕疵担保責任って何だろうね。」
チュースケ「難しくてわからないです。」
調査太郎「瑕疵っていうのは法律用語で「本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わっていないこと」とされる。住宅だったら、設計書では入っているはずの柱が実はありませんでした、というのは瑕疵になる。」
チュースケ「何となくわかります。」
調査太郎「瑕疵保険を理解するうえで重要なのが、誰が何のために入る保険なんだろう?という観点なんだよ。それくらい同じ瑕疵保険という名称でも中身が変わってくる。」
チュースケ「誰が何のために、ですね。わかりました。」
新築の瑕疵保険は建築会社が加入する
調査太郎「それじゃあ新築から行こう。新築は誰が何のために入るんだろうか?」
チュースケ「建築会社の10年保証ですよね。住宅瑕疵担保履行法でしたっけ。」
調査太郎「そう。万が一に備えて、新築時に建築会社が瑕疵保険に加入するか、相応の額を供託するかが義務化されている。新築の瑕疵保険は建築会社が入る保険という訳だ。」
リフォーム瑕疵保険はリフォーム会社が加入する
調査太郎「じゃあ既存住宅に行くけど、この展開だと話が早いからリフォーム瑕疵保険から行こうか。リフォーム瑕疵保険は誰が何のために入るんだろうか?」
チュースケ「えっと、リフォーム会社でしょうか。」
調査太郎「その通り。リフォーム会社が自社が施工した箇所に対する保証を行うために瑕疵保険に加入する仕組みになっている。」
売主が宅建業者の場合は売主が加入
調査太郎「じゃあいよいよ本番の売買瑕疵保険に行こう。売買瑕疵保険は誰が何のために入るんだろうか?」
チュースケ「ちょっと待ってください。個人と宅建業者で分かれているのって意味があるんですよね。それぞれ異なるんじゃないんですか?意地悪な質問ですね。」
調査太郎「(笑)正解だよ。まずわかりやすい宅建業者の方から説明しよう。
売主が宅建業者の場合、売主である宅建業者は最低2年の瑕疵責任を負うことが義務づけられている。この話は宅建士の資格試験だと定番の問題だから、不動産会社ならみんな知っていることだね。」
チュースケ「じゃあ、宅建業者が自らの瑕疵責任に対して加入する、ということでしょうか。」
個人間売買は検査会社が加入
調査太郎「最後に売主が個人の場合だ。意地悪な質問をしてしまったので、種明かしをしておくと、個人間売買の瑕疵保険は本当に難しい。概念を理解しようとすると頭が混乱するだけだから、誰が何のためにではなく、誰が入るのかだけを考えよう。」
チュースケ「わかりました。」
調査太郎「個人間売買の瑕疵保険に加入するのは検査会社だ。」
チュースケ「検査会社って何ですか?」
調査太郎「瑕疵保険法人に登録している建築士事務所を検査会社と呼ぶんだ。
つまり建築士事務所が個人間売買の瑕疵保険に加入する。」
チュースケ「ちょっと意味がわからないですね。」
調査太郎「この流れで突然建築士事務所が出てきても混乱しても仕方がない。そもそも個人間売買の取引には物件に対する法的な瑕疵責任が明確になっていないんだ。他の保険商品を考慮すると、売主が加入すると言いたいところだけど、当の売主には物件に対する瑕疵責任が明確でない。」
チュースケ「えっと買主が入るってのは無いんですよね。」
調査太郎「そうだね。いずれの保険も買主が加入するものではないよ。詳細は個人間売買の時に説明するけど、物件に対する瑕疵責任が明確でないから、検査を行った事業者に物件に関する責任を負ってもらうことになった。」
チュースケ「なんで検査会社が責任を負うんですか?」
調査太郎「だから深く考えると理解するのは難しいんだって。」
瑕疵保険の重要キーワード「改修工事」
調査太郎「それからもう一点。すべての瑕疵保険を眺めてみると、この制度に隠れている本当の姿が浮かび上がるんだけど…。」
チュースケ「聞かれてもわからないですよ。工事業者が関係しているくらいしか…。」
調査太郎「凄いね。ほとんど正解だよ!瑕疵保険の裏に隠れているのは「工事」だ。国交省は検査と保証が一体と表現しているけど、本当は「検査と工事と保証が一体」なんだよ。売買瑕疵保険にまつわる問題は工事の概念が欠如していることだと個人的には思っているくらい重要だ。」
チュースケ「瑕疵保険は工事もセットなんですね。覚えておきます。」
調査太郎「誰が何のために?と質問してきただろう?それぞれの事業者が加入するメリット・加入しなければならない理由はわかりやすいけど、どんなに良い仕組みでもお金がかかることだから、原資が無ければ提供できない。つまり、瑕疵保険に加入する事業者は買主に対して何かしらのビジネスを提供し利益を得たから保険に加入できる原資を得た、と考える。」
チュースケ「新築を建てた会社は新築の販売で利益がありますし、リフォーム事業者もリフォームで利益を得ていますよね。ということは個人間売買の場合は、検査会社が検査で利益を得ているということでしょうか。」
調査太郎「そこが本質だ。検査は工事じゃない。検査で利益を得ているから保険に加入できるというのは大きな勘違いだ。検査会社は検査費用くらいで5年間も保証できないし、保険料も負担できないよ。そして今君が言ったような反応が一般的な不動産会社の認識で、検査業務を行う建築会社と大きな隔たりがある。不動産業界は瑕疵保険が工事とセットであることを正しく認識できていないんだよ。」
チュースケ「業界の話になってもわかりにくいですよ。」
調査太郎「いや、中古住宅の購入にはリフォームが欠かせないだろ?つまりは不動産業界と建築業界の両方が関係してくるんだ。業界の話は別の機会にするけど、実はこの二つの業界は水と油と言われるほど本当に仲が悪い。そしてこのことが中古住宅を検討する際に大きく影響してくる。瑕疵保険シリーズの最後に事業者について説明するので、「瑕疵保険が対応できる事業者選びが大切」と認識していて欲しい。」
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