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【瑕疵保険①】中古住宅の保証って?
川口市を中心に活動する不動産コンサルタントの有限会社リプロです。 今回から既存住宅売買瑕疵保険の新シリーズを始めます。
耐震基準適合証明書もそうですが、中古住宅の取引は工法・構造・築年数などで手続きの方法が変わってくるので、本当にややこしいです。既存住宅売買瑕疵保険の加入が要件となっている補助制度もあるので、きちんと整理して、正しく制度を利用したいものです。
中古住宅の不具合は買主のせい?
チュースケ「太郎さ~ん。中古住宅でも買ってから雨漏れが発生したら、売主に直してもらえますよね。」
調査太郎「う~ん。一概には言えないなぁ。」
チュースケ「えっ。半年前に友人が中古住宅を買ったんですが、この前の大雨で雨漏りしたみたいで…。仲介会社に言っても解決しないみたいで、僕に相談されたんですけど。」
調査太郎「売主は個人かな?」
チュースケ「売主は不動産業者じゃないって言ってました。」
調査太郎「だとすると難しいかもしれないね。」
チュースケ「どうしてですか?たった半年ですよ!欠陥住宅じゃないですか!」
調査太郎「欠陥住宅の定義が間違ってるよ。欠陥住宅とは、建築会社の原因で住宅に何らかの問題が生じている住宅のことを指すから、新築かもしくは業者の再販物件にしか当てはまらないよ。また、雨漏れなんかの問題を瑕疵と言うんだけど、中古住宅の個人間売買の場合は、そもそも瑕疵の責任が法律で明確になっていない。極論を言うと、今にも崩れそうなボロ屋でも、売主が直さないと売ってはいけないという決まりはない。」
チュースケ「売主が隠していたらわからないじゃないですか。」
調査太郎「売主が故意に隠ぺいしていたことが証明できれば訴求できるけど、現実問題としてはなかなか難しいね。」
チュースケ「だったら怖くて誰も中古住宅を買おうとは思わないですよ」
調査太郎「極端な意見だが、そのように消費者を誘導する不動産会社や建築会社が多いから困ったもんだ。結論から言うと、中古住宅でも安心して取引できる仕組みがあるよ。」
チュースケ「あるんですか!じゃあ友人の場合も大丈夫ってことですよね。」
調査太郎「残念ながらご友人のケースで解決策になるかはわからない。というか住宅ローン減税の時のように手遅れの可能性の方が高いと思う。その友人は中古住宅を購入する上で必要なプロセスを実施しなかったから、今の状況に陥っている。これから中古住宅の流通を促進するために国が設けた制度について説明するよ。」
最長5年最大1000万円 構造躯体と雨水の浸入などに対する保険
調査太郎「チュースケ君。 例えばボールがころころ転がるくらい傾いた家を買いたいと思うかい?」
チュースケ「そんな家いやですよ~。」
調査太郎「じゃあ、雨漏れ跡がある家ならどうだい?雨漏れ跡だけで買わない理由になるかな?」
チュースケ「雨漏れは嫌ですけど、そんなことを言ってたらいつまで経っても家が見つからないと思いますし…。あ、安く直すことができるんだったら問題ありませんよね。」
調査太郎「その通り。あらかじめ補修費用がいくらかかるか明らかだったら、その費用が捻出できるかの問題になるよね。」
チュースケ「でも、素人だと家の不具合を見つけることが難しいです。」
調査太郎「中古住宅の取引において、専門の建築士が調査する仕組みがある。
一般にインスペクションと呼ばれる建築士のサービスだ。」
チュースケ「プロに見てもらえれば安心ですね。」
調査太郎「本当にそうかな?建物の劣化というのは進行していくものなんだ。
建築士が調査した時点で問題ないと判断されても、半年後は?1年後は?先のことは誰にもわからないだろう?」
チュースケ「そんなことを言われたらますます中古住宅が怖くなるじゃないですか!」
調査太郎「じゃあ保険があるとしたらどうかな?最長5年間、雨漏れが発生しても、1000万円まで保険で直してもらえる。」
チュースケ「それだったら安心です。万が一でも補修費用を出してもらえるなら問題ありません。」
調査太郎「この中古住宅取引の保険のことを既存住宅売買瑕疵保険という。期間は最長5年間で、保険金額は最大1000万円。保険の対象は構造躯体と雨水の浸入※の保険制度だ。」
※保険法人によって保険対象が追加される場合があります
チュースケ「じゃあ、中古住宅を購入する時は既存住宅売買瑕疵保険に加入すれば安心なんですね!」
調査太郎「それがそう簡単にはいかないんだ。住宅ローン減税の時と同じで、工法や構造、築年数、取引形態によって加入の手続きやしやすさが変わってくる。加入できないことも多い。」
チュースケ「それじゃあまたあのややこしい説明を?頭がこんがらがっちゃいますよ~。」
調査太郎「まあまあそう言わずに。瑕疵保険、インスペクションの知識は、中古住宅でも特に戸建てを検討している人には欠かせない情報だと思うよ。制度は用意されているが義務ではない。こういう問題って結局のところ選ばなかった消費者が悪い、ということになりやすい。最初に言ってた雨漏れのご友人も、知っていたらそんな状況は回避できたかもしれない。」
チュースケ「でもそんな大切な情報なら、仲介会社が情報提供するべきじゃないんですか?」
調査太郎「本来はね。 実際に2018年4月に宅建業法が改正されて、宅建業者に主にインスペクションに関する情報提供についての義務が追加されている。」
チュースケ「じゃあ友人の件も仲介会社の落ち度ってことですよね。」
調査太郎「そうは言えない。詳しくは別で説明するけど、法律の改正で義務化されるってことは本当に大きなことなんだ。だから誤解を生じないように改正の内容は非常にシンプルで限定的だ。中古物件のインスペクションを実施すること自体は義務ではないし、実務では業者による情報の出し方に大きく左右される。
例えば重要事項説明書に既存住宅状況調査の報告書の有無の欄が追加されたんだが、単に「既存住宅状況調査の報告書はありません」とだけ伝えられるのと、「一般にインスペクションとも呼ばれる建築士の建物調査については、本物件では行われていません」と伝えられるのでは、受け取り方の印象が大きく変わってくる。」
チュースケ「確かに。いきなり既存住宅状況調査って言われてもわかりませんよ。それに重要事項説明書って難しいことがたくさん書かれていて、よっぽど詳しい人じゃないとさらっと流れちゃいそうです。」
調査太郎「前にも問題にしたけど、業者と消費者の情報ギャップの問題は解消されていない。宅建業者の言うことを鵜呑みにせず、消費者がきちんと判断する必要があるんだ。」
チュースケ「そうは言っても不動産取引は専門用語も多くてわからないですよ。」
調査太郎「住宅ローン減税の時も行ったけど、だからこそ、一番大切なのは不動産仲介会社選びなんだ。前は耐震基準適合証明書だったけど、実は瑕疵保険でも業者にとって意地悪な質問がある。」
チュースケ「教えてください!」
調査太郎「質問は「瑕疵保険を利用したいんですけど対応できますか?」だ。
「できます!」と即答する事業者は、制度のことをあまり知らないと判断できる。」
チュースケ「できるのにダメなんですか?」
調査太郎「瑕疵保険は物件や取引の状況でそもそも加入できるかどうかわからないから、仲介会社が「できます!」っていうのがそもそもおかしい。「物件によって違う」「都度判断して情報提供します」というリアクションの人は制度に詳しい可能性が高い。」
チュースケ「意地悪な質問ですね。」
調査太郎「このシリーズではインスペクションも重要なキーワードとなるけど、「インスペクション対応できますか?」は業者を選別する目的ではあまり効果的でない質問だ。そもそもインスペクションというワードそのものは割と浸透しているから、業者の意表を突く質問になっていないし、瑕疵保険と違ってどのような状況でも調査そのものはお金を払えば実施できるわけだから、「できます!」と即答されても嘘にはならない。」
チュースケ「わかりました。中古住宅を検討する時には物件探しの前に、まずは仲介会社選びが重要ということですね。」
調査太郎「そうだね。特にインスペクション、瑕疵保険については知っているだけで正しく理解していない事業者も多いから、気を付けたいところだ。」
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