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【住宅ローン減税6】所有権移転後に耐震基準適合証明書を発行する方法
川口市を中心に活動する不動産コンサルタントの有限会社リプロです。戸建ての詳細に入る前に、所有権移転後に耐震基準適合証明書を発行する方法について説明します。
所有権移転までにやらなければならないこと、やってはいけないこと
調査太郎「戸建ての詳細に入る前に所有権移転後の方法を行う場合で、所有権移転までにやらなければならないことと、やってはいけないことについて説明しておこうと思う。」
チュースケ「所有権移転までにやらなければならないこと?やってはいけないこと? 耐震改修工事を行えばいいんじゃないですか?」
調査太郎「そんなに簡単な話じゃないんだ。というより、所有権移転後の方法は相当難易度が高いと言った方が良いかもしれない。仲介会社が知らないだけでなく、役所の窓口や税理士ですら間違った判断をする場合があるからね。手続きを間違うと制度対象外になるから本当に注意が必要だ。」
チュースケ「不動産会社を選ぶのが重要、ですか。」
調査太郎「そう。 中古戸建てを検討する時は特に仲介会社の質が問われる。
消費者が個人レベルで対処できるものではないので、業者を巻き込んだ方が良い。」
チュースケ「でも念のため内容を知りたいです。」
調査太郎「わかった。本当にややこしいから覚悟して欲しい。所有権移転後の方法の要件はまとめると次のようになる。「所有権移転前に耐震基準適合証明書仮申請書を行う」「所有権移転後、居住開始までに、耐震改修工事を実施して、耐震基準適合証明書を発行する」
チュースケ「すいません。全然意味がわからないです。。。」
調査太郎「要件を整理すると次の3点になる。」
1:所有権移転前に仮申請書を行う必要がある
2:新住所登記を行ってはいけない
3:耐震改修工事が必要
チュースケ「すっきりしましたが、新しい単語も出てきて意味がわかりません。」
耐震基準適合証明書仮申請
調査太郎「順番に説明するから(笑)。まず1の仮申請。これが所有権移転までにやらないといけないことになる。ここで思い出してほしいのが、この築後年数要件の制度の変遷だ。実はこの制度は内容が書き換わったのではなくて、緩和要件が追加されているに過ぎない。つまり、耐震基準適合証明書は所有権移転前までに発行するのが基本であって、所有権移転後の方法はそれができない場合の追加措置という位置付けになる。だから、所有権移転までに、適合証明書発行のために改修工事が実施できないので、仮申請だけ行います、という手続きが求められる。意味合いを理解するのは難しいけど、とにかく「仮申請」という手続きが必要ということだ。」
チュースケ「仮申請って何をするんですか?」
調査太郎「買主が耐震基準適合証明書仮申請書に必要事項を記入して、最終的に耐震基準適合証明書を発行してもらう人に提出し、記名捺印をしてもらう流れとなる。」
<参考>国土交通省ホームページ
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000031.html
※重要※制度に不慣れな事業者が多いので、下記のPDFを印刷して相談することをお勧めします。(金融機関や役所でも同じです)
https://www.mlit.go.jp/common/001304714.pdf
チュースケ「太郎さんがややこしく言うから何かと思えば、そんなに大した書類じゃないですよね。」
調査太郎「そこが問題なんだ。この書類の問題は、最終的に耐震基準適合証明書を発行してもらう人はこの人ですよ、ということを決めることにある。最終的に仮申請書の発行者の名前と耐震基準適合証明書を発行する人が同一でないといけない。」
調査太郎「耐震基準適合証明書を発行するには耐震改修工事が必要になるというのは前に説明した通り。つまりは、所有権移転までに耐震改修工事を含めたすべての計画を決定しないと仮申請書が無効になる恐れがあるということだ。当初はA社に耐震をお願いしようと思っていてA社に仮申請を行ったけど、あとからB社の方が安いとわかったんでB社に変更しました、というのは成立しないという訳だ。(※)売買契約から所有権移転までに耐震診断を実施して、改修工事の中身まで決めなければならないんだから、かなりスケジュールはタイトになる。とても「書類書けばいいんでしょ」レベルの話ではない。」
※リニュアル仲介では耐震診断から改修設計、改修工事、証明書発行を一貫して同一事業者が実施するスキームを想定しています。詳細は別で説明しますが、証明者と施行者が異なると、リフォームではあまり行われない施工監理が必要になるからです。
チュースケ「重要なプロセスだったんですね。わかりました。」
新住所登記を行ってはいけません!
調査太郎「続いて2番。新住所登記ってわかる?」
チュースケ「引き渡しの前に住民票を移すってやつですか?」
調査太郎「正解。あれをやったらいけない。役所は引っ越し後でないと住民票の移転を認めていないから、本来は、以下の流れになる。」
<本来の所有権移転と住民票移転の流れ>
1:旧住所で所有権移転登記を行う
↓
2:引っ越しする
↓
3:住民票を移転する
↓
4:住所変更登記を行う
調査太郎「これまでは新築偏重の業界だったんで、ほとんどの人が引き渡しを受けたら当然ながらすぐに住み始めるわけで、あらかじめ所有権移転前に住民票を移しておけば、住所変更登記が省略できるから面倒がなくて得ですよね、という業界の慣習を新住所登記と言う。」
チュースケ「何が問題なんですか?」
調査太郎「所有権移転後に証明書を発行する要件の「居住開始」というのは住民票の移転日を指すんだよ。」
チュースケ「あ!わかりました!所有権移転後に工事をしてから住民票を移さないといけないのに、所有権移転より先に住民票を移しちゃいけないということですね。」
調査太郎「その通り。この新住所登記は業界の慣習として当たり前のように行われているから、不動産会社も悪気なく引き渡し前に住民票を移転するように指示してくる。」
チュースケ「言われるがままに住民票を移してしまったら、住宅ローン減税が利用できなくなる、というわけですね。業者の指示に従って制度が利用できなくなるなんて最悪ですね。」
耐震改修工事が前提
調査太郎「最後の3だけど、チュースケ君がややこしいといった、経緯の説明に深く関わってくる。言い換えると、耐震基準適合証明書の発行日が所有権移転後の場合は、耐震改修工事の請負契約書を添付しないと住宅ローン減税が適用されないということになる。ここで問題になるのが、所有権移転前は耐震改修工事をやるつもりだったけど、所有権移転後に実は耐震改修工事が必要ない物件だったと判明した場合。」
チュースケ「えっ。適合証明書が発行されればOKですよね。」
調査太郎「このような勘違いが横行しているから丁寧に説明したんだ。制度は書き換えではなく付け加わっているんだ。工事が不要な物件は所有権移転前に証明書を発行しておかないといけないんだ。耐震基準適合証明書を住宅ローン減税の切符のように思っている人が多いんだけど、何でもかんでもあればいいわけではないので、本当に注意が必要だ。別の記事で工法の注意も書くけど、2×4工法の物件を購入する場合は、早めに耐震診断を実施した方がいい。2×4工法は耐震改修工事が不要と判断されるケースが多いからだ。」
チュースケ「頭がこんがらがってきました。本当にややこしいですね。」
調査太郎「だから中古戸建てを検討する場合は、制度に詳しい仲介会社を選んでおかないと大変なことになるんだ。 次回でフローを説明するけど、中古戸建ては間違っても素人判断で取引を進めない方が良いよ。」
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